アラサー男性の亮さんは、33歳で初めての彼女ができたことで、苦労が絶えない人生を歩んできた。
男女共同参画白書によると、30代男性の34.1%が女性とデートしたことがないと答えており、その理由は自信のなさや恋愛に興味がないなど様々だという。しかし、亮さんの場合は、複雑な家庭環境が恋愛に対して適切に対処するのを難しくしていた。
亮さんの母親は、彼が11歳の時に脳梗塞で倒れ、以降介護が必要な状態になっていた。
父親は仕事を理由に家に帰ってこなくなり、亮さんは母親の世話を一人で担うことになった。
父親からの仕送りも途絶え、母親は若年性認知症を発症し、会話もできなくなり怒鳴り散らすようになった。亮さんは母親の介護をつきっきりで行うことになり、高校に通うことも困難になっていった。
亮さんは、家族のために尽力し続ける中で、恋愛においてもうまく向き合えない自分をうらやましく思う日々を送ってきた。
母親の病気や父親の姿勢が、彼の心に深い影響を与えていたのだ。しかし、33歳で初めて彼女ができたことで、亮さんの人生に新たな光が差し込んできたのである。
母の死により、亮さんは深い悲しみに包まれました。
精神状態が激しく変化し、時には嵐のように怒りをぶつけることもありましたが、他の時には以前の母親らしい優しさを取り戻すこともありました。
そんな中、亮さんは心を一定に保つよう努めましたが、「生きる意味がなくなってしまった」と感じるまでに至りました。
亮さんは、普通の家と違う状態になることで心の拠り所を見つけ、テレビやスマートフォンを処分しました。
娯楽としては月に1回、古本屋で歴史小説を購入して読むことがありました。小説を読むことで、亮さんは現実から離れることができ、心を休めることができたのです。
母の死により、亮さんは生きる目的を失いました。
孤独と空虚さに苛まれる日々を送り、自殺を考えたこともありました。しかし、隣の部屋に住む女性の支援を受け、NPO団体を通じて他の若者を支援する機会を得ることができました。
社会への貢献が自分の生活に意味を与え、新たな趣味や人間関係も生まれていきました。
その中で、亮さんはバーで保険の営業をしている女性と出会いました。バー通いを通じて、他の常連客と交流を深める中で、新たな出会いや楽しみを見つけることができました。
彼の人生は少しずつ明るくなっていきました。
「彼は非常におしゃべりで、私はいつも彼の話を聞く立場でした。仕事のことや共同作業者に関する話、さまざまな話題をしてくれました。愚痴も多いですが、世間知らずの私としてはそうした話を聞くのも面白かったです。お酒を飲むときにはちょっと酔っ払いがちなところがあって、他の常連客たちからは『心配だよね?』と心配されることもありましたが、話を聞くこと自体が楽しいので私は全然大丈夫でした」
彼女との関係も徐々に深まっていきました。
共通の趣味があったことも影響しています。
「私は歴史好きです。司馬遼太郎の話ができることがとてもうれしくて。歴史について私が話すことが多い時もありますが、そのとき彼は聞き役に徹してくれます」
徐々に2人で歴史遺跡めぐりをするようになり、お互いに興味を持っていた新選組のゆかりの地を訪れるために京都へも旅行しました。
池田屋の跡地にある居酒屋に行ったり、新選組が結成されたとされるお寺にも行きました。旅行中に彼女から『付き合っていると思ってもよい?』と言われ、私は33歳で初めて女性と交際することになりました
しかし、初めての交際には眠れないほどの不安を覚えています。
経験がないため、どうすればいいかわからず手探りで。この年齢で恋愛に慣れていないことが恥ずかしくもあり、彼女に対して申し訳ない気持ちにもなります。
まだ手を握ったりもしていませんし、これからどう進展していいかわからずにいます。彼女は私のことをすべて知っていて、いつも優しく導いてくれますが……。
彼女を失うのが怖くて不安がますます深まります。
それでも、亮さんは「でも、今までにないほど充実した日々を過ごしています」と語っています。
苦労してきた分、これからの人生には「一段と幸せな出来事」が待っているはずだ。